フォームの型について

現役時代よく考えていたのが選手によって歩きのフォームにも型があるなという事。

 

様々な選手を観察していると一流選手になるとだいたい二つのフォームに分けられてきます。

 

①1つ目が、これぞ競歩!という歩型で、腕を後ろに大きく引いて、ストライドをなるべく広くとった型。上下動の少ないフォームのため違反を取られる可能性も低く、足が前に振り出されているように見えます。

 

この歩型で競歩初心者にありがちなのは、骨盤を低い位置に保ち、足を前に出してブレーキをかけながら歩いてしまい、骨盤と連動出来ていないにも関わらず無意味に腕を大きく振ってしまう人が多いです。

 

競歩初心者がまず初めに意識するであろう競歩の形ではあるが、一流選手のものとは似て非なる歩型ともいえます。(後に詳細を記述)

 

②2つ目が、腕をあまり大きくは振りすぎず、比較的コンパクトにストライドを刻む型。(コンパクトと言っても一流選手は限界ストライドの6~7割程度では歩いている)

 

1番目の歩型と比較して、少し走りの要素が加わり、骨盤はやや前傾気味で、足を後ろで捌くように歩きます。

 

走りの要素が加わるため、スピードは出やすくなるが、基礎が固まってないうちにこの歩き方にのめり込むと、ストライドが狭くなり、違反も取られやすくなってしまいます。

 

昨今、学生の10000mWなどではスピード化が激しいため、基礎が安定する前にスピードを求めてしまう環境のため、このような歩型が増えているようにも感じます。

 

どちらが良い悪いとは一概には言えないが、やはりスピードを追い求めると大体の選手は2番目の型に落ち着いてしまっているように感じます。

おそらく、1番目のフォームで歩いている一流選手はひと握りしかいなく、代表的なのは、20km競歩世界記録保持者の鈴木雄介選手くらいではないかと感じます。

 

準一流から日本トップクラスまで伸び続けた選手を見ていると、歩型の変遷としてはまず、誰しもが通る①の歩型で、競歩を歩きの延長線上として考え5000mを27分~22分半くらいまで歩く選手が多く、そこから②の歩型へと進化すると22分~20分台ぐらいまで記録が伸びているように感じます。

 

しかし、ここで①の時期にドリルやストロールなどでどれだけ基礎が身についているかが重要になって来ます。

①の時期で大きなフォームを身に着けなかった選手は、記録に低迷があったり、スピードを求めすぎて失格が続く選手になってしまいます。

現に準一流レベルの大会の学生インカレなどで失格になる選手は多いです。

 

そして、②の歩型の壁を越え、自分の歩型を見つめ続けた選手が最終的にはまた①のフォームへと辿り着きます。

しかし、ここまで来た選手のフォームは初心者が考える競歩フォームとは似て非なるものとなっており、①と②の歩型のハイブリットともいえ、骨盤はやや前傾気味で高い位置に保たれ、前に出した足の位置に重心がそのまま乗っていくようなフォームになります。

そのため、足を後ろで捌き続けているにも関わらず、走りのようには見えず、後ろにストライドが伸び続けるような綺麗なフォームに見えます。

 

このレベルまで来ると、おそらく日本トップ、世界でも通用するレベルにまで達するが、現状の日本でここまで達しているのは片手ほどしかいないのではないかと感じます。(歩型には骨格なども関係するため一概に良し悪しは決められないが)

 

昨今の国内レースのスピード化は高校の大会にも波及してきているが、

今、高校生であるジュニアアスリート選手にはスピードよりも、先の事を見据え、歩型の安定性と自分の歩きを見つめられる目を養って欲しいと考えます。

 

最後に筆者が現役時代参考にしていた鈴木雄介選手のレース動画をどうぞ。

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